社会福祉法人 青山会 東福六万寺 季刊誌 ラブ No.17・7月号 寄稿
「地域の支え合い(愛)の中で」
平成19年7月1日

 「福祉」の「福」と「祉」は、「しあわせ」、「ゆたかさ」を表す漢字であります。
 日本における社会福祉の起源は、飛鳥時代に聖徳太子が建立した貧民救済施設「悲田院」にまで遡るとされ、その原点は、仏教における「慈悲・喜捨」の実践にあると考えられています。行基・空海・空也・行円・重源・叡尊・忍性・一遍・願阿弥・・挙げ出すとキリがないですが、多くの名僧たちも民衆の中において、慈善活動、慈悲・喜捨の実践として、貧民・病者救済施設の整備や橋梁・道路・港湾・灌漑・田畑の整備などに取り組んで参りました。
 現在日本社会における福祉は、憲法第二十五条第二項・生存権の保障の中で、「国は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定されており、もっぱら国家が政策として、福祉の向上と増進に努める責務を担っています。そして、青山会さんもそうですが、社会福祉法人など公益法人が福祉の現場における実践主体として活躍しています。もちろん、現在の寺院においてもまだまだ直接的に社会福祉について取り組まれているところは数多く存在しています。
 誠に生意気なことではありますが、私自身も地域社会における福祉活動に関わろうとした動機の一つは、僧侶として成すべき「慈悲・喜捨」の実践のためでありました。もう四年ほど前になりますが、この地元において精神障害者の無認可作業所を運営されていた家族会の方からの協力依頼を受けて、小規模通所授産施設を設置運営する社会福祉法人の設立に参画しました。その際におけるチャリティーイベントの開催では、青山会さんにも色々とご協力を頂きましたことを思い出します。その節では、青山会さんも含めて本当に地域の皆様方から様々なご支援とご協力を頂きまして、何とか法人を設立させることができました。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
 その法人設立後、私は理事長として、若輩、浅学非才の身でありながらも、何とか施設を維持運営しなければならないと取り組みましたが、障害者自立支援法成立を機として早くも行き詰りを見せ始め、一期二年で脆くも挫折、現在は私よりも福祉に精通した経験豊かな方に運営をお任せしております。
 そのように自身、挫折した苦い経験もあって、障害者自立支援法によって福祉サービスの新体系システム移行へ向けた準備の慌ただしさが続く中、青山会さん、東福六万寺さんの現場で起こっているであろうと考えられる諸所の課題解決の大変さについては、私なりに推し量れるところが多くあります。そのため、これからのつらいこと、苦しいことを何としても乗り越えていく上でも、どれほどに地域の皆様方のご支援、ご協力を必要としているのかということについても十分に理解できるところでございます。
 青山会さんの理念は「一人はみんなのために、みんなは一人のために」とお聞き致しました。その理念の下で、障害を抱えてしまった方でも地域で自立した生活が送れるように、私たち地域住民もできることからお手伝いしていかなければならないと考えております。もちろん、私自身も一度の挫折だけでこのまま萎縮し続けることなく、少しずつでも地域福祉における活動を前に進めて参る所存でございます。
 「人間(じんかん)到る所に青山あり」。障害を抱えてしまった方、ご家族の方、役員さん、職員さん、地域の方々と、青山会さんに集まったみんなが、支え合い(愛)の中で幸せに暮らしつつも、やがてそれぞれが高い志を培って、いずれはよりもっと活躍できる場へと羽ばたいていくようになる、そんな地域社会の中核的役割を青山会さんが大いに担って頂けることを私は切に願ってやまないのであります。
  
 川口 英俊 合掌




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