NPO法人・CE東大阪・季刊誌・28号への寄稿文
「目線・精神保健福祉に携わって考えたこと」
平成18年12月31日

 私は昨年度までの三年間、精神保健福祉に携わり、社会福祉法人の設立代表・理事長を務めさせて頂きました。それまで福祉については、経験も知識もほとんど無かったため、色々と一から学び、手探りで進めなければならないことばかりで、つらく困難なことがたくさんありましたが、その間、ご支援ご協力を頂きました皆様方には本当に感謝致しております。退任後においては、後援会で活動を継続させて頂いています。
 その社会福祉法人では、小規模通所授産施設を運営し、心の病に罹ってしまった人たちが、その病を持ちながらも地域の住民として自立して普通に暮らすことを目指しての社会復帰訓練・自立支援・就労支援が行われています。その訓練の一つとして授産事業があり、当時は、内職・軽作業・襖障子網戸張替え・アルミ缶回収・環境浄化EM団子作成などを扱っていました。通所者たちの心の病の病名・状態・程度も多種多様で、一日一日それぞれの症状・体調や通院などの都合によっての作業となるため、なかなか全体的に目的・目標どおりにうまくいかず、はかどらないのが実情でありました。
 私の在任時においては、授産事業における通所者たちの工賃として、一人当たり・平均的に月・3〜5千円程度がやっとで、調子が悪くてほとんど作業に参加できない通所者では、月・5百円以下の方もいらっしゃったり、どんなに頑張られて一生懸命に取り組まれた方でも最高で月・2〜4万円程度で、社会復帰訓練のための授産事業とは言えども一般の健常者の労働に対する賃金と比べるとその差はあまりに歴然としていたため、当初はこのことに凄まじいショックを受けました・・
 何とか少しでも一人当たりの工賃収入を上げるために、単価の良い内職・軽作業や収入が多く見込まれる事業を展開できればと努力したものでありましたが・・障害者福祉支援に対しての企業意識も未だ低く、単価が良い内職・軽作業を得ることは難しかったですし、法人に資本力がほとんどなかったため、普通の企業が行っているような事業展開も不可能でありました。
 そういった中、ついに障害者自立支援法が施行、利用者たちには、応益負担としてこれまで無料で受けることができていたサービスにも逐一自己負担が課されることとなりました。
 その結果、利用者たちは障害年金・工賃など限られた収入の中で、利用者には、施設の福祉サービス利用負担が重くのしかかり、社会復帰訓練の意欲を低下・阻害させるだけでなく、施設を辞めてしまう方も出始めてしまっています。法人・施設も福祉サービスの新体系システム移行へ向けた準備の慌ただしさが続く中で、利用者負担増による施設利用停止によって施設の利用者減少が著しくなった場合、施設への補助金が削減されると、職員のリストラ・給与カットなどによる影響で、福祉サービス低下を招けば、更に利用者が減少、この悪循環で施設が閉鎖に追い込まれ、利用者の行き場が徐々に失われていくことになってしまいかねません。国には、今一度しっかりと福祉の現場・現実を直視して頂いて、障害者自立支援法の見直しを進めてほしいと願っています。
 最後に、私の三年間における福祉支援で学んだことについて述べさせて頂きます。まず、公平・中立・独立的な立場、公益性・慈善性を担保するために、無報酬・ボランティアで取り組むこと、特定の利害関係を持たない・作らないこと、当該福祉・法人運営に対しての基礎知識、国・地方自治体の当該福祉の政策方針、当該法人の基本運営方針・事業内容についてしっかりと学び理解することに努め、多角的視点からの考察を進めながら、利用者のサービス向上のために積極的に運営・支援に参画していくことが大切であると考えています。



川口 英俊



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